2012年4月29日日曜日

脳卒中リハビリテーションにおけるバーチャルリアリティ

脳卒中に対するバーチャルリアリティの効果を検討したレビュー論文です。

コクランレビューになるので、論文の質が担保されており、とても信頼性が高いです。

Cochrane Database Syst Rev. 2011 Sep 7;(9):CD008349.Virtual reality for stroke rehabilitation.Laver KE, George S, Thomas S, Deutsch JE, Crotty M.


今回のレビューでは、脳卒中に対するバーチャルリアリティの効果をレビューすることを目的としています。

論文の選定基準はRCTのみにしぼっています。


上肢機能に対するバーチャルリアリティは一般的なリハビリと比較し、有意に改善が認められました。

しかし、握力、歩行スピードに対するバーチャルリアリティでは効果が認められませんでした。
というよりも、下肢機能に対するバーチャルリアリティは論文の数が少なすぎて、効果を決定づけることができないそうです。

ADLに関しても、バーチャルリアリティの方が一般的なリハビリと比較して、有意な改善が認められました。

しかし、一番のポイントでもある認知機能に関してはデータが少なすぎて効果を決定づけることができなかったそうです。

今後はWiiやkinectの普及によりバランス機能や下肢機能に焦点を当てた研究が加速すると思うので、データも集まってくるのではないかと思います。

また、認知機能においても、バーチャルリアリティ中はBDNFが普通の運動と比較して出やすいことが証明されているため、認知機能に対する効果も時期に出るのではないかと思います。

2012年4月21日土曜日

Evernoteによる文献管理

Evernoteは本当に便利すぎます。

特に研究等で論文を多く読まれる方にとっては素晴らしすぎます。
こんなものが無料で使える時代が来るとは(ちなみに自分はプレミアムですけど)…

論文を紙媒体で保存しておくと、どこにどの論文をしまったか全く覚えていない。
というような経験をお持ちだと思います。


これらはすべてEvernoteが解決してくれます。

簡単に自分のEvernoteによる文献管理法を紹介します。

Evernoteをダウンロードします。
設定方法など詳しい方法は検索をかければいくらでも出てくるので割愛します。

こちらからダウンロードできます。
http://www.evernote.com/about/intl/jp/download/

Evernoteにはwebclip機能というものが付いていて、web上のものを簡単にEvernoteにアップできます。

pubmedのアブストラクトの画面で

Evernoteに送りたい部分をドラッグで選択して、赤丸の部分を押すと…

こんな感じでEvernoteに送られます。



そして、自分はアブストを全訳しておきます。


PDFも入れておけます。

タグ付けをしておきます。


後からタグで検索等ができるため、とても便利です。


こんな感じで使ってます。

論文をファイルにまとめて、その重いファイルを持ち歩く…

そんな生活とはおさらばです。

この使い方はとても便利なので、是非皆さんも使ってみてください。

これにipadを組み合わせると神です。

ipadとEvernoteの連携を次回にしたいと思います。

2012年4月20日金曜日

Kinectを使った次世代リハビリ

kinectとはMicrosoftが作っているゲーム機の付属品です。


これが2012月の2月からパソコンにて使用することが可能となり、自分で自由にプログラムを作れるようになりました。

http://www.microsoft.com/en-us/kinectforwindows/

kinectを使うとこんなことができるようになります。
http://research.microsoft.com/apps/video/default.aspx?id=150286


リハビリにかなり使えそうです。

さらに開発言語がC#!!!!

バランスWiiボードによる重心動揺計を作っていた時と同じ開発言語です。

これで高齢者に対するVRのリハビリ研究が加速しそうです。
自宅での高齢者の運動継続のツールとして普及していくことが望まれます。

ゲーム中毒に近いリハビリ中毒みたいな感じ?

自分の大学に光トポがあるので、VR中の脳活動を調べてみたいなぁと思います。

ただ、こういったものが普及していくと、PTがほんとにいらなくなるなぁ~…

2012年4月15日日曜日

バランスWiiボードによる重心動揺計の開発

バランスWiiボードによる重心動揺測定のプログラムは意外とネット上にたくさん落ちています。

ただ、それらはプログラマーが作っているため、リハビリ用として使うにはとても使いづらいことが多いです。

それらで測定したデータは生データしかありません。

こんな感じ

excelと数学に詳しくない人はまずこの数字が出ただけでは臨床には使えません。

使い勝手の良いプログラムがないかなぁと探してみましたが…

見つかりません…
ありません…
ない…!?

ないならば
つくってしまおう
ホトトギス

ということで、バランスWiiボードによる重心動揺計を作成してみました。

参考にしたサイトはこちら

http://www.kosaka-lab.com/tips/

言語はC#で作っています。

で完成したのがこちら



必要項目を入力してスタートを押すだけ簡単です。
測定するごとにデータが蓄積されていきます。


現在は30秒と60秒の測定時間が選べます。
正直何秒でも可能です。
こちらのプログラム次第です。

CSVファイルにも出力できます。


安価で簡単に重心動揺の測定が可能です。

測定可能な評価項目は、総軌跡長、矩形面積、RMS、最大X軸変位、最小X軸変位、最大Y軸変位、最小Y軸変位です。

総軌跡長などは2点間距離を求めて、足していけばよいだけなので簡単でしたが、
外周面積はアルゴリズムが複雑すぎて、うまく出せなかったのであきらめました。

後は周波数解析とカオス解析を付けたら完璧なのですが…

測定したデータを加工して、excelのVBAを組むと…


結果用紙ができました、っていうのも作りました。
施設利用者さんの運動継続のモチベーションアップに一役買っています。

比較対象がアニマの20Hzの重心動揺計の結果なので、Wiiの方も20Hzまでおとして解析しています。まだ、基準値がないので。

ちなみにバランスWiiボードは100Hz。
Wiiすげー。

重心の軌跡が見れるVRのようなリハビリツールも作成したのですが、またの機会に紹介したいと思います。

2012年4月12日木曜日

SPPB日本語版

前回SPPBの論文を紹介しましたが、現在のところ日本語版がありません。

ということで、作成しました。

質問紙法ではないので、日本語版の信頼性と妥当性の検証はいらないと思いますが…

こんな感じです。


ここでもう一度、SPPBの説明をしておきます。

SPPBはShort Physical Performance Battery と呼ばれるパフォーマンスの評価指標です。
測定項目はバランステスト、歩行スピード、椅子立ち上がりテストの3つから成り立ちます。

日本(特にリハ分野)では、まったくと言っていいほど使用されていません。

しかし、世界的(欧州?)にはとてもメジャーな評価指標のようで、EWGSOPのサルコペニアの診断基準の一つにも入っています。

そのため、信頼性と妥当性も検証されており、論文も数多く存在します。

時間も5~10分で終わり、簡便でかつ基準が明確なので、臨床での使用にも問題がないです。


使いずらい所や修正点等があったら、メールとかで知らせてくれるとありがたいです。